← 左の目次から、目的の項目を追っていただいてもいいですし、時間が許せば、先頭から読んでいただくと熱処理の全体像がつかめると思います。

熱処理屋さんでは、最適な「熱処理」をやってもらえない・・・?

はじめにお断りしておかねばなりませんが、このHPは一般的な熱処理解説編ではなく、カスタムナイフや自分で作った工具類、あるいは、試作品などの少量品を熱処理の専門外の人が熱処理屋さんに焼入れ(ここでは「硬くする」という意味合い)を依頼する際に役に立ちそうな内容となるように想定しています。 かなり専門的な内容もあり、理解しにくい部分もあると思いますが、最高の熱処理をするためのものとしてお読みください。 

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私の記憶では、現在のように「真空熱処理」が一般的でなかった’80年代頃には、いろいろな鋼種が流通していて、当社のような一般熱処理業者は小口の品物を扱うことも多く、お客様の要望はすべて受け入れて熱処理をしていた時代でした。 しかし近年は熱処理炉も大型化し、利益や処理の効率を上げるために、熱処理屋さんは小口の品物を嫌う傾向にあります。 それに加えて、当時にはガスバーナーであぶって、水に入れて焼入れする方法で使えていた鋼がおおかったのですが、今は1000℃を超える焼入れ温度の鋼が多くなって、自分では熱処理出来ないし、熱処理屋さんに頼むにも、どのようにう頼んでいいのか戸惑っている人も多いのではないでしょうか。

当社でも、小口の品物については、熱処理条件が合う鋼種や仕様のものをまとめて熱処理しますので、「こだわりの熱処理」ができないことが多くなっています。 焼入れ温度も適正範囲内の共通温度にして、保持時間も量の多いものに合わせてそれなりに・・・・・というように、効率優先になってきています。 これはJISや熱処理的に見ても、間違った処理ではないというものの、「熱処理屋さんの都合」で最高品質となるのを逸しているのは、精魂込めて作った品物に対しては、なにか解せない気持ちが残りませんか?

つまり、現状は、費用や納期を気にするお客様と、効率を望む業者の共通利害から、「アバウト」な熱処理となっていることが多いのです。

その上に、「こういう熱処理をしてほしい」と熱処理屋さんに依頼や問合せをしても、難しい専門用語を交えての説明と、特別扱いとなると納期・価格の障壁が加わるといって、簡単に希望を聞いてもらえないばかりか、極端な場合は、「これ以上のことは出来ません」と断られたり、言われるままの処理になってしまった…・という経験がある方もおられるのではないでしょうか。

そのような現実的な背景をあわせて、ここでは「熱処理はこういう処理をすることです」「こういう性質を満足させるためには、このような熱処理が必要です」ということを感じていただけるようにするとともに、小ロット品についても個別に最適な熱処理ができる「ソルトバス」を使うことで、最適な熱処理ができるんですよ・・・・ということをPRしたい気持ちでこのHPをつくりました。

残念なことに、(実はこれから推奨したい「ソルトバス」もそうですが) 費用、利益などの熱処理業者側のデメリットを考えると、これらのオーダー的な熱処理は消えゆく運命にあるような状況ですが、設備を維持出来る限り、頑張りたいとおもいます(第一鋼業:野中 豊)

熱処理って何のためにするの?

「図面に書いてある硬さにしてください」「熱処理が必要と書いてあるので・・・」というように、図面や仕様書がある場合には、それに沿って熱処理すればいいのですが、ただ「焼入れしてください」「熱処理してください」といって、仕様を決めずに品物をもってこられるお客様は意外に多いのです。

当社としても、「何にお使いですか?」とか、「どんな硬さや性質が必要ですか?」 などを聞いて熱処理することになるのですが、とにかく「硬くなればいい」「焼いてくれればいい」「おまかせします」「JISの硬さで・・・」などといわれる例も意外とあるんです。

そして、意外や意外、図面に書かれた仕様があっても、設計者の思いつきなのか無知なのか、熱処理上困難な仕様や、用途から考えても「変な仕様」が書かれていることも多いのです。(うそみたいですが・・・)

「硬くしたい」「軟らかくしたい」「強くしたい」「ねばくしたい」「摩耗しにくいものにしたい」「さびにくくしたい」「加工しやすくしたい」・・・・・などをするための熱処理ですが、どれくらいに(たとえばいくらの硬さに)するかということを即座に決めるのは難しいことでですが、ここでは、いくらかでもそれを理解していただけるように解説していこうと考えています。

熱処理を解説する場合の切り口はいろいろありますし、@焼入れ A焼戻し B焼なまし C焼ならし などを個別に本格的に説明するとしても立派な本になってしまいます。また、鋼種と熱処理操作だけをみると、「焼入れ」と「焼ならし」は同じではないかとか、「歪取り」と「矯正」はどう違うのかとか、「鋳物の枯らし」と「応力除去の適正温度」・・・というような質問をうけても、説明できるように答えることは簡単ではないものもたくさんあります。 

すべてを解説できませんが、ともかく、「工具として使える硬さにする熱処理」を、出来るだけ教科書的にならないように心がけて書いていきます。

ご質問・お問合わせ・・・

この解説を読んでもわかりにくい内容がある・・・という方は、下記のHPにある問合せフォームからお問合せいただきましたら、説明出来る範囲でお答えさせていただきます。

また、熱処理の依頼をされる際にお問合わせいただきますと、品物に対応した具体的な回答ができるでしょう。 もちろん、説明を受けるのは「無料」です。

第一鋼業株式会社  ソルト熱処理のHP担当  野中 豊


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